京都を代表する古刹「東福寺(とうふくじ)」。
その名前は、奈良の名寺「東大寺」と「興福寺」から一文字ずつ取られたものだとご存じでしたか?
九條道家が京都に壮大な伽藍を築いてから約800年──。
火災や再建を繰り返しながらも、今なお凛とした姿で人々を迎える禅寺です。
この記事では、東福寺の歴史をわかりやすく解説しながら、三門や通天橋などの見どころ、拝観料・回り方のコツまで丁寧に紹介します。

紅葉だけじゃない“本当の東福寺の魅力”を、一緒にたどっていきましょう。
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東福寺とは?名前の由来と基本情報


京都を代表する禅寺のひとつ「東福寺(とうふくじ)」は、臨済宗東福寺派の大本山として知られています。
広大な境内には多くの塔頭(たっちゅう:子院)が並び、その数は現在でも25にのぼります。
京都の禅寺の中でも規模が大きく、紅葉の名所として全国的に有名です。
東福寺の名前の意味と成り立ち
「東福寺」という名前は、奈良の二大寺院「東大寺」と「興福寺」から一文字ずつ取って名づけられました。
この名には、奈良の偉大な寺院に並ぶような寺を京都に建てたいという九條道家(くじょうみちいえ)の願いが込められています。
“東と福を合わせた寺”という意味こそ、東福寺の原点です。
臨済宗東福寺派の大本山としての位置づけ
東福寺は鎌倉時代に開かれた臨済宗の寺院で、京都五山の第四位に列せられました。
臨済宗とは、禅の修行を通して悟りを開くことを重んじる仏教の一派です。
現在も多くの僧侶が修行を行う現役の禅寺として、その伝統を守り続けています。
塔頭が多い理由と境内の広さ
東福寺の境内は広大で、最盛期には80を超える塔頭がありました。
塔頭とは、高僧や歴代住職が修行や供養のために建立した小院のことを指します。
現在も25の塔頭が残り、それぞれが独自の庭園や仏像を有しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 宗派 | 臨済宗東福寺派大本山 |
| 山号 | 慧日山(えにちさん) |
| 所在地 | 京都市東山区本町15丁目778 |
| 開山 | 聖一国師(円爾弁円) |
| 開基 | 九條道家 |



広さ・歴史・格式すべてにおいて、京都屈指の禅寺です。
東福寺の歴史をわかりやすく解説(創建から現代まで)


ここでは、東福寺がどのようにして誕生し、数々の試練を乗り越えて今の姿に至ったのかを、できるだけやさしく整理していきます。
九條道家が夢見た「東」と「福」の大伽藍
東福寺の創建は鎌倉時代、1236年(嘉禎2年)。
当時の摂政・九條道家が「奈良の東大寺や興福寺のような壮大な寺を京都にも」との願いで建立を発願しました。
19年の歳月をかけて1255年(建長7年)に完成し、京都最大級の寺院として名を馳せました。
火災と再建を繰り返した中世の東福寺
完成からおよそ80年後、元応元年(1319年)を皮切りに、建武元年(1334年)、延元元年(1336年)と、3度の大火に見舞われます。
しかし、延元の火災からわずか4ヶ月後には復興が始まり、貞和3年(1346年)には仏殿の上棟式が行われました。
この復興の早さこそ、当時の信仰の厚さと人々の結束を物語っています。
聖一国師(円爾弁円)の生涯と功績
開山である聖一国師(しょういちこくし)は、宋(中国)に渡って禅を学び、帰国後に九條道家の師として迎えられました。
彼は禅・密教・天台の教えを統合した高僧であり、臨済宗の普及に大きく貢献しました。
また、宋から製粉機の技術を伝え、うどんや茶の文化を広めたことでも知られています。
明治以降の復興と近代の東福寺
明治14年(1881年)の大火で仏殿や法堂が焼失しましたが、大正から昭和にかけて再建され、現在の姿が完成しました。
昭和9年(1934年)に落成した本堂は木造建築として最大級の規模を誇り、堂本印象が描いた天井画「蒼龍図」も有名です。
東福寺は、700年以上の歴史を持ちながら、今も進化を続ける“生きた禅寺”です。
| 時代 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1236年 | 九條道家が建立を発願 |
| 1255年 | 伽藍完成 |
| 1319〜1336年 | 三度の火災 |
| 1346年 | 再建(仏殿上棟) |
| 1881年 | 明治の大火 |
| 1934年 | 本堂再建・蒼龍図完成 |
東福寺の見どころ5選


東福寺は、広大な境内の中に多くの国宝や重要文化財を有する、京都屈指の名刹です。



ここでは、初めて訪れる方にもわかりやすいように、特に人気の高い5つの見どころを紹介します。
日本最大最古の禅寺の門「三門(国宝)」
応永32年(1425年)に室町幕府4代将軍・足利義持によって再建された「三門」は、日本最古かつ最大の禅寺の門です。
高さ約22mの楼上には、釈迦如来像や十六羅漢像が並び、天井には画僧・明兆による極彩色の天女や飛龍が描かれています。



通常は非公開ですが、春の「涅槃会」期間には特別拝観が行われ、楼上から京都市内を一望できます!
東福寺の象徴であり、禅の世界を体現する門です。
重森三玲が手がけた「本坊庭園・八相の庭」
1939年に作庭家・重森三玲が手がけた「本坊庭園(方丈)」は、東西南北に4つの庭を持つ禅宗庭園です。
釈迦の一生を8つの局面になぞらえた「八相の庭」は、北斗七星、市松模様、蓬莱山などを表現しています。
伝統的な枯山水とモダンなデザインが融合した庭園は、2014年に国指定名勝に登録されました。
季節を問わず訪れたい“静寂の芸術空間”です。
紅葉と青もみじが彩る「通天橋」
洗玉澗(せんぎょくかん)という渓谷にかかる「通天橋」は、本堂と開山堂を結ぶ木造の橋廊です。
秋には約2000本のカエデが真紅に染まり、「雲海の紅葉」と称される絶景を楽しめます。
聖一国師が宋から持ち帰ったとされる「トウカエデ」が植えられており、青もみじの季節も人気です。
紅葉だけでなく、新緑も息をのむほど美しい名橋です。
秋には境内が一面の紅葉に染まります。詳しくは東福寺の紅葉を見に行くならいつ?完全ガイドでご覧ください。
日本最古の禅宗トイレ「東司(とうす)」
室町時代前期に建立された「東司」は、現存する禅宗建築の中で日本最大最古のトイレです。
“百雪隠(ひゃくせっちん)”とも呼ばれ、かつては百人以上の僧が一斉に用を足したと伝わります。



用を足すことも修行の一部とされた、禅の精神が息づく貴重な遺構です
開山堂・禅堂・浴室など歴史建築群
開山堂には、開山・聖一国師(円爾弁円)の像が安置されています。
また、禅堂は南北朝時代に再建された日本最古の坐禅道場として知られ、今も日曜坐禅会が行われています。
さらに「浴室」は、1459年建立の現存最古の禅宗浴室で、蒸し風呂のような構造が当時の生活を今に伝えます。
| 見どころ | 特徴 |
|---|---|
| 三門 | 日本最大最古の禅宗門(国宝) |
| 本坊庭園 | 重森三玲作の「八相の庭」 |
| 通天橋 | 紅葉・青もみじの絶景スポット |
| 東司 | 日本最古の禅宗式トイレ |
| 禅堂・浴室 | 修行と生活の場を今に伝える文化財 |
東福寺の回り方と所要時間の目安
東福寺は境内がとても広く、初めて訪れる方はどこから回ればいいのか迷うこともあります。
ここでは、時間別のおすすめルートと混雑を避けるコツを紹介します。
初めての人におすすめの回り方ルート
おすすめは「南門 → 三門 → 法堂 → 本坊庭園 → 通天橋 → 開山堂 → 臥雲橋 → 北駐車場」の順路です。



このルートなら、主要な見どころを自然な流れで巡ることができます。
写真を撮りたい方は、午前中の柔らかい光の時間帯が狙い目です。
紅葉シーズンの混雑を避けるコツ
紅葉シーズンは午前9時〜11時に最も混雑します。



朝8時台、または午後15時以降に訪れると比較的ゆったり拝観できます。
2025年も紅葉のピークは11月中旬〜下旬が予想されています。
所要時間とベストな拝観時間帯
全体をじっくり巡るなら約90分、主要スポットだけなら60分が目安です。
朝の静けさを楽しみたい方は、開門直後(9時前後)がおすすめです。
紅葉時期は拝観時間が延長される場合もあるため、事前に公式サイトをチェックしましょう。
| 所要時間 | おすすめ時間帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| 60分 | 午前9時〜10時 | 主要スポットを効率よく巡る |
| 90分 | 午前8時〜9時 | 静かな時間にゆっくり散策 |
| 120分以上 | 午後15時以降 | 観光客が減り落ち着いた雰囲気 |
東福寺の拝観料・拝観時間・割引情報(2025年版)
東福寺では、季節や特別拝観の時期によって拝観料や時間が変わります。
紅葉シーズンや夜間拝観では混雑も予想されるため、事前に最新情報を確認しておくことが大切です。
ここでは、2025年11月時点の最新拝観情報と、お得に楽しむ方法を紹介します。
通常拝観の料金と時間
通常拝観では「通天橋・開山堂」「本坊庭園(方丈)」の2エリアが中心です。
どちらも四季折々の景観を楽しめるので、紅葉期以外でも見応えがあります。
| 期間 | 拝観時間 | 最終受付 |
|---|---|---|
| 4月〜10月末 | 9:00〜16:30 | 16:00 |
| 11月〜12月第1日曜 | 8:30〜16:30 | 16:00 |
| 12月第1日曜〜3月末 | 9:00〜16:00 | 15:30 |
拝観料は次の通りです。
| 対象エリア | 大人 | 子ども |
|---|---|---|
| 通天橋・開山堂 | 600円 | 300円 |
| 本坊庭園(方丈) | 500円 | 300円 |
| 共通拝観券(通天橋・開山堂・本坊庭園) | 1000円 | 500円 |
時間に余裕があるなら、共通拝観券で両方巡るのがおすすめです。
紅葉シーズン・夜間特別拝観の詳細(2025年秋)
東福寺では、紅葉の最盛期に合わせて「看楓特別拝観」や「夜間特別拝観」が行われます。



2025年は以下の日程で実施予定です。
| 拝観内容 | 期間 | 時間 | 料金 |
|---|---|---|---|
| 看楓特別拝観(通天橋・開山堂) | 2025年11月15日〜12月7日 | 9:00〜16:30(16:00最終受付) | 1000円 |
| 看楓特別拝観(本坊庭園) | 同上 | 9:00〜16:30(16:00最終受付) | 500円 |
| 夜間特別拝観(通天橋ライトアップ) | 2025年11月19日〜12月7日 | 17:30〜19:30 | 2800円(要予約) |
| 早朝特別拝観 | 2025年11月20日〜12月8日 | 7:30〜8:30 | 1800円 |
紅葉時期は日中・夜間ともに人気が高く、特に週末は行列ができるほどです。
夜間拝観は予約制のため、公式サイトやJR東海ツアーズなどで早めの手続きをおすすめします。
障害者割引・共通拝観券・お得な利用法
障害者手帳の提示で、本人および介助者1名まで拝観料が無料になります。
また、「共通拝観券」は通天橋・開山堂・方丈を一度に回れる便利なチケットです。



紅葉の時期は個別券の販売のみとなる場合があるため、受付で確認しましょう。
事前に現金を用意しておくとスムーズに入場できます。
東福寺のアクセスと周辺観光スポット
東福寺は京都市東山区にあり、JR・京阪・市バスなど各交通手段からアクセスしやすい場所に位置しています。
紅葉シーズンは周辺道路が混雑するため、公共交通機関の利用がおすすめです。
京都駅・伏見稲荷・祇園からの行き方
京都駅からはJR奈良線で約3分、「東福寺駅」下車後徒歩約10分です。
伏見稲荷大社からは徒歩約15分、または京阪線で1駅(約3分)とアクセスも抜群。
祇園や河原町方面からは、京阪「祇園四条駅」から「東福寺駅」まで約5分で到着します。
| 出発地 | アクセス方法 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 京都駅 | JR奈良線で東福寺駅まで約3分+徒歩10分 | 約15分 |
| 伏見稲荷大社 | 徒歩または京阪線で東福寺駅へ | 約10〜15分 |
| 祇園・河原町 | 京阪「祇園四条駅」から約5分+徒歩6分 | 約15分 |
東福寺周辺のおすすめ塔頭とカフェ
境内の塔頭(たっちゅう)は25ヶ所あり、その中でも見応えがあるのが「芬陀院(雪舟寺)」や「龍吟庵」「勝林寺」です。
また、東福寺駅周辺には「FUKU CAFE」や「甘味処 通天庵」など、散策の合間に立ち寄りたい癒しのカフェもあります。
静かな午後に、庭園の余韻を感じながら甘味をいただく時間も格別です。
駐車場・混雑回避の交通手段
東福寺には南側と北側に駐車場がありますが、紅葉期間(11月中旬〜12月上旬)は閉鎖されます。
この時期は、JRまたは京阪電車を利用するのがもっとも確実です。
特に混雑日には、一駅手前の「稲荷駅」から徒歩で向かうとスムーズに到着できます。
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まとめ|京都の歴史と自然が融合する東福寺
東福寺は、鎌倉時代に誕生してから700年以上の歴史を持つ京都屈指の禅寺です。
九條道家の壮大な夢と、聖一国師の精神が受け継がれ、今もなお人々を魅了し続けています。
歴史・建築・自然を一度に感じる特別な場所
国宝「三門」、重森三玲作の「八相の庭」、紅葉の「通天橋」など、見どころは尽きません。
そして、それぞれの建築や庭園が、東福寺の長い歴史と禅の心を静かに語っています。
“京都の秋を代表する寺”として、訪れるたびに新たな発見がある場所です。
2025年も東福寺で“京都の深み”を味わおう
紅葉や歴史建築をめぐりながら、静かな禅の時間を感じる──。
それこそが、東福寺が長く愛されてきた理由です。
2025年の秋は、ぜひ京都・東福寺で季節と歴史が重なる瞬間を体験してください。
| 見どころ | おすすめ時期 |
|---|---|
| 通天橋の紅葉 | 11月中旬〜下旬 |
| 夜間特別拝観 | 11月下旬〜12月上旬 |
| 方丈庭園(八相の庭) | 通年 |
静寂と彩りが共存する東福寺で、心を整える旅を。
秋には境内が一面の紅葉に染まります。詳しくは東福寺の見ごろはいつ?紅葉完全ガイドでご覧ください。
また、参拝の際には御朱印ガイドもチェックしてみてくださいね。
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